◎恫喝としての中間貯蔵施設

 中間貯蔵施設とは何でしょうか。いったいその「中間」とは何の意味。原発の燃料であるウラニウムは石油に比べるとわずかでとても量としてはもたない。それはウランの内で核分裂して熱を出すウランがウラニウム鉱石のうち、わずかだということで再処理して高速増殖炉で増やそうとしたのが核燃料サイクルというもの。

 しかし、再処理は、福井県敦賀市にある高速増殖炉の実証炉もんじゅで躓き、青森県の六ヶ所の再処理工場は事故が続き動いてない。日本各地の原発では、「使用済み核燃料」は「再処理」ができないまま原子力発電所の敷地の中に溜まり続けている。ここで西川誠一福井県知事が恫喝したのは、原子力発電所内の「使用済み核燃料」貯蔵施設は満杯になりつつあり、大飯原発の再稼働に大阪府や京都府、滋賀県が反対するのなら負担も引き受けろということだ。そこで持ち出したのが「中間貯蔵施設」だ。

それを奈良県の荒井知事は、建設に前向きに検討すると乗ってしまった。なにしろ、いかなる事でも幹部会議の席に県側が選んだ専門家を呼んで説明されデータを示されれば、瞬時に分かると述べている人物なので、神速で理解したつもりなのだろう。

「中間」とは、いずれ「再処理」をするので、それまでの中間的な貯蔵だけのためだというのが日本政府による苦し紛れの言い分なのだ。しかし、世界的にも「再処理」は放棄される流れにあり、日本でもプルトニウムの使い道がない上、もんじゅや六ヶ所再処理工場の事故や技術的・経済的・政治的な理由からもはや「再処理」は実現しない可能性が高い。そうなれば、使用済み核燃料の行き場はなく「中間貯蔵施設」とは、実は使用済み核燃料の「最終貯蔵施設」になるのだ。しかし、もはや原発は5月4日北海道の泊原発が定期検査で停止すれば脱原発状態となり使用済み核燃料は増えない。つまりは現状のままでいいはずなのだ。

中間貯蔵施設の安全性

 かつて各地で計画されていた中間貯蔵施設は、金属製のキャスクと呼ばれる巨大な容器の中に5トンの使用済み核燃料を入れ、それを千 基つまり5千トン分の使用済み核燃料を保管しようとする。おそらく奈良県の計画もそういう規模になるだろう。

 百万kWの原子力発電所では1年間30トンの使用済み核燃料を生み、その中に広島原爆千発分の死の灰が含まれている。したがって、キャスク1基には広島原爆150 から200 発分の放射能が含まれ、中間貯蔵施設全体では恐るべきことに原爆17 万発分にも達する。そして奈良県内を中間貯蔵施設まで使用済み核燃料を積んだ特殊車両が走り回ることになる。そして観光県として風評被害は致命的なものとなる。それが荒井奈良県知事が作ろうとしている中間貯蔵施設なのだ。

 中間貯蔵施設はたしかに原子力発電所や再処理工場のように、厖大な熱を発生させたり、ポンプを稼動させたり、長大な配管を持っていたりしない。しかし、中間貯蔵施設が抱える危険性は原子力発電所や再処理工場のものとは異なる。それは時間の長さに関係する危険性である。原子力発電所や再処理工場であれば、その寿命はどんなに頑張っても数十年であり、それらの施設が抱える危険性については、その時間の長さだけ考えればすむ。

 ところが、「中間貯蔵施設」と呼ばれているこの施設は上に述べたように最終貯蔵施設になる可能性が高い。そうなれば、百万年、すなわち人類の歴史から見て永遠にその場所でお守りし続けなければならないことになる。

 日本で初めての電気事業者である東京電灯が設立されたのは1886年であり、それ以降まだ126 年しか経っていない。現在の9電力会社ができたのは1951年であるから、いまだにせいぜい60年余しか経っていない。日本という国自身もわが奈良県が誇る邪馬台国の卑弥呼の時代からまだ1800年程しかたたない。

 使用核済み燃料を格納する金属性キャスク、あるいはコンクリート製の貯蔵建屋も、せいぜいその健全性が保障できるのは数十年、どんなに長く見積もっても数百年の単位でしかない。それにもかかわらず、百万年にわたって安全に保管できるという主張には、およそ科学的な根拠がない。

 これが、荒井奈良県知事が理解できたという中間貯蔵施設の真実の姿なのだ。

「中間貯蔵施設、貯蔵建屋イメージ図」
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[参照]
2004 年5 月21 日(金)~23 日(日) 「使用済み核燃料中間貯蔵施設」とは?宮崎県内連続講演会 京都大学原子炉実験所 小出 裕章 資料
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【2012/04/22 01:58】 | 原子力
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