別に小説を書いているわけではないのにこの本を読んだ。子供のころから読んでいる小説とはなにかを知りたかったからだ。今多くの人が「小説入門」の本を書いているが、現在の現実の小説家が書いている本は、この本と高橋源一郎『一億三千万人のための小説教室』岩波新書くらいなのだ。あとは評論家など違う人がテクニックなど書いている。

 でもそれらテクニック本はほとんど役に立たないというのだ。保坂和志さんは芥川賞作家で、ここに書くのは、小説というのは小説を書こうとする個人が個別に探求するものでもっと直観的・感覚的にとらえるもので、誰かに学ぶテクニックなどない、それぞれで違うと主張する。

 私は17歳のころ物語を書いただけだが、確かに何か自分の中を探訪してやむなく出てきたものだった。どうしょうもなく何か書きたかったのだ。あれを発展させたものが小説だった。そうすると誰かがもうやっているという評論家の論説など無意味だということになる。

 自分の世界からそれはやってくる。それをどう発展させるかが小説家として高まることなのだ。保坂和志さんいわく、この本を読めば新人賞くらいとれるとのこと。
 各文芸誌が主催する新人賞には毎回1,000から1,500作の応募があるが、9割は箸にも棒にもかからない作品ばかりだとのこと。最終選考に残る作品でも何とか読めるのは5作品のうち2、3作くらいだそうだ。だから「この本は新人賞をとるためのマニュアルではないけれど、きちんと読めば、新人賞くらいはとれることを保証する」というのだから大変な本なのだ。

 私も小学校4年から物語の世界に浸りそこからやってきた人間なので、一時期はなれていたが小説が人と私に重要で絶えずおもしろい小説を探している。もちろん、小説以外のすぐれて世界を理解し変えうる本も、もっと熱心に探してはいるが。

 テクニックは小説を読んでいたら自分の中に自然に蓄積され動くものだとのこと。だからあとから当てはめようとしてもその運動を妨害することになる。

 だから何もないのはダメだけど、それは自分で見つけねばならないのだ。
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【2008/12/30 00:11】 | 奈良たかし・本の話
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