映画監督、矢口靖史氏は、その肩に日本映画(業界と観客双方)の大きな期待を背負っている。何しろ近年「ウォーターボーイズ」、「スィングガールズ」大ヒット話題作の映画2本を撮ったからだ。青春映画で娯楽作としてすばらしいできばえで水準も高く見ておもしろい。

 当然次回作も待望されていた。しかも空港と飛行機を撮る大作「ハッピーフライト」である。

 しかしである。できた「ハッピーフライト」は内容はみごとこけたのではないか。

 矢口監督は、脚本も1人で担当する。それが今までうまく相互作用をして結実してきたのにそれが逆噴射を起こしたのではないか。明らかに脚本がまずく、それでキャスティングのミスが目立つのだ。

 たとえば、主演は大人気でしかも前作「ICHI 市」ではかなり演技にも深みを見せた綾瀬はるかだ。それなのに彼女は主人公ですらない。
 副主人公のはずの機長昇進試験を受けている副操縦士役の田辺誠一と綾瀬はるかのからみどころか、実は面識すらもない。機内窓からちらっと初対面で見かけるだけというありさまだ。これではドラマが成立しない。そして何より何のロマンスもないのだ。

 だいいち機内客席での場面が、メインの人が国内線から海外線に初フライトの綾瀬はるか以外に、40代のチーフパーサー(主任)役寺島しのぶと先輩役吹石一恵と他に二人もいる。でコックピットに入りパイロットと話をするのはなんと脇役である主任のみなのだ。
 しかも、舞台はあちこちに飛び、エピソードは多い各シーンの比重が平均的な群像劇なのだ。もうほとんどドラマになっていない。

 脚本がそもそもおかしく、それでキャスティングも変になり、おかげで話がバラバラだ。
 ここは、せっかく吹石一恵を出すのだから、彼女を新任の主任にして、それを経験は少しあるが、まだ慣れないCAの綾瀬はるかとする。それで軋轢があったが、吹石が、ケガをするなりアクシデントのせいで綾瀬はるかが、パイロットと協力し努力する中で、田辺誠一とのロマンスが目覚める。それに、空港のいろんな部署が尽力することで危機を脱する。もちろんこれら他のシーンの比重は落とす。

 でも、こんなのは脚本のイロハで、矢口監督が、わからないわけがない。これまで成功したためのおごりと、何もかも1人に集中したためにチェック機能が働かなかったせいだと思う。それと、過去のアメリカ映画「大空港」を意識しすぎて群像劇にしたせいではないか。

 なんとか、出直していただきたい。
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【2008/12/27 00:02】 | 映画
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