NHKスペシャル「医療再建」を見たが、かなり問題の多い番組だとわかった。医療被害を受けた参加者の柳原三佳さん(ジャーナリスト・ノンフィクション作家)のブログに詳しい。
http://mikay.blog44.fc2.com/blog-entry-485.html

 司会の高橋美鈴アナウンサーが、医師がいないという現象を示して「誰もが必要な時に必要な所で受けられるとされてきた日本の医療への信頼が崩れ始めている」と言って始まる。
もう一人の司会は岩本裕科学文化部記者。

まず嘘がある。
内容は、3つのセッションに分かれ、
第1セッション 必要な時、必要なところに医師がいない~拡大する“医師偏在”・東京編~


VTR①
  ●深刻化する診療科間の医師数の格差
  ●夜の医療を担う医師がいない(医師の昼夜偏在)
◇スタジオ②;拡大する“医師偏在”の実態と背景
  ◎“医師の偏在”(診療科、地域、昼夜)をどう考えるか?
  ◎新医師臨床研修制度について>



 臨床研修の改正による各診療科巡回研修化による弊害として、形成外科など楽な診療科に医師が集まり、勤務の厳しい小児科は医師数が減っている。厚生労働省のグラフも出た。

ところがそれは、

診療科の偏在を、小児科以外の診療科では、医師の総数(勤務医+開業医)の減少で示し、小児科については、小児科医の総数は、実は増えているにもかかわらず、その点には一切触れず、小児科医の総数ではなく、勤務している小児科医数の減少(グラフ)で示していた


と、インチキなのだった。

 この後、

第一セッション後の休憩時間に、小生と尾身さん、外口(引用者補完 厚生労働省医政局長)さんの3人で意見が一致したのが、地域の100~200床の病院で総合内科医を育てることであった。また第二セッションで、外口さん、尾身さんおよび複数の医師から、地域の医療ニーズに合う総合内科医の育成について医療再建に取って実に貴重な発言があったが、すべてカットされた。


と、発言カットを繰り返す。

第2セッション 適正な医療体制をどのように実現するか

VTR②
  ●イギリスの計画的な医師配置
  ●適正な医療体制の実現に向けた奈良県の取り組み
1.VTR②の流れた後に、イギリスの医師配置の管理システムを紹介したビデオについて、小生が、イギリスは日本とは医療制度が異なり、とくに人口2000人に一人のGP(総合医)が配置され年間契約でかかるGPが決まっていること、市民は病気になると契約しているGPにまずかかり、病院へはGPの紹介状がないと受診できないこと、フリーアクセスの日本とは全く異なる事を明確に話し、VTRの使い方に問題があることを発言したが、完全にカットされた。

2.医療崩壊の本質の一つは、中堅クラスを中心に勤務医が次々に退職したことによる勤務医不足である。医療再建にはこの点が不可欠で、地域病院の事例を挙げ具体的に説明した発言は完全にカットされた。



セッション3 適正な医師配置の実現に向けて


  ◎誰が医療のグランドデザインを描くのか?
  ◎医師の適正配置をどのように実現するか?
  ◎医療再建のために、今、何が必要か

 休憩時間中に、外口さんが、医療再建について厚生労働省としては自分の所管業務に限定され、総務省や文科省には口を出すことができないと話されていました。この点には小生も全く同感で、事前に担当ディレクターに伝え、是非発言してほしいと要請された最も重要な発言、「今日、最も重要なことは、医療再建に政府が取り組むのにあたって、たとえばITの医療分野での国家戦略は厚労省・総務省・経産省の3省を組織横断的に束ねる内閣官房IT戦略本部が担うように、医療再建については、卒後研修や医療制度を担当する厚労省、卒前教育を担当する文科省、自治体病院を担当する総務省の3省横断的な組織、すなわち医療再生戦略本部を内閣官房に設置することを強く求める」は、ついに全面カットされた。



 つまり、勝村久司氏(中医協委員)を中心にして、医師の計画的配置を強調し、そのため小児科医の医師数の不足と、イギリスの医師配置制度の紹介の前提となる家庭医制が抜かされ、多くの貴重な意見もすべてカットされた骨抜きとウソ番組になったというのだ。しかもその意見者には厚生労働省医政局長も含まれている。勝村久司氏は家族が被害者となりそれ以来の真摯な医療問題の活動家で、今回は利用されただけだろうが。

 しかも医師会副会長の竹嶋氏は医師の自律性が重要であると主張したが、岩本裕司会者がしつように「医師会が主体となって計画配置を進める」との言質を取ろうとし、最後は「医師会に宿題として持ち帰ります」と言わされ、雰囲気としてはそれで検討し進めるというような感じにされた。岩本裕司会者は鬼の首を取ったような物言いだった。

 ここで必死に隠されたのは、再配置というのは実は、患者となる国民に対しても大きな制限を伴うものだという事実だ。冒頭で高橋美鈴アナウンサーが言った「誰もが必要な時に必要な所で受けられる」という自由は実はなくなる。
 なにしろ、病院の専門医にかかるにも、地域の特定の家庭医に見てもらい承認が降りないとできないのだ。その家庭医の医師がヤブ医者やだめで嫌な医者だから他の家庭医にかかるというわけにはいかなくなる。不満なら他の家庭医にかかることができると法律に書けばいいと言われる方もいるだろう。現実にずっとその家庭医につきあわねばならないのにそんなことができるだろうか。

 奈良県奈良市内の脳外科もセンター2か所に集めることになる。医師を選ぶ自由はなくなる。
 それを隠してはいけない。

 なぜこんなことをしているのだろうか。おそらくは医師を増やすという政策の方向転換は財界・日本経済連にとって余計な国民への財政支出を増やし好ましくない。それで情報操作がすべてで番組が作られたのだろう。その決められたレール以外はいっさい行けないのだ。

 こんなことをやるのなら、NHKは解散したほうがいい。財界広報局とでも名前を変えたらどうか。
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【2008/12/24 00:05】 | 医療再生
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