この小説『荒野』は文藝春秋の単行本だが、桜庭一樹のサイン会には縁の深い東京創元社の女性編集者が来ていて「青春時代を思い出して身もだえしてしまいました」と書いたそうだ。あまりに鮮やかな青春小説なのだ。

 遙かな過去と未来をのぞき込んだような。

 題の「荒野」は実は主人公の少女の名前で、父親が作家で母は亡くなっていない。この小説は中一から高一までの多感な時期を描く。

 父親は次々と女性と関係する。しかし新しい母が来て数才上の男の子の連れ子も入ってくる。彼女荒野はやがてその子を好きになるのだ。
 そして荒野は義母になじんでいく。

 最後に浮気に耐えかねて出て行った義母を数ヶ月ぶりに玄関先で迎える。帰ってきた義母を本当にこころから迎える。彼女は人から言われてばかりいた言葉を自分で言って大人になる。「おかえりなさい」

 今のところ今年最高の小説である。
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【2008/12/04 21:25】 | 奈良たかし・本の話
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