「そもそも外務省関係者によると、パリのテロ事件もあり、外務省は総理官邸に対して、中東訪問事自体を見直すよう進言していた。それでも、総理官邸は行くと決断した。」
「〈支援はISILの脅威を食い止めるため〉〈ISILと闘う周辺各国に、総額で2億ドル程度、支援をお約束します〉とのカイロスピーチの問題の内容についても、「総理官邸が主導して作成した」と外務省幹部が証言している。」と報じた。
これに対して外務省が2月3日「事実と全く異なる」と訂正を求める申し入れをした。
しかし、その反論の根拠が極めてあいまいで中身がないのだ。
まず今回の訪問の決定だが、「総理の中東訪問については、…様々な観点を総合的に判断して決めた」とあるが、その過程で「中東訪問自体を見直すよう」な外務省の「観点」は一切なかったのか。外務省にとって最初から中東訪問は確定事項で、誰も異論を唱えなかった、そう書かれていれば、抗議の趣旨となるが、これでは「中東訪問自体を見直す」点が無かったというようなものではなく、抗議するような内容では無い。
「(総理の政策スピーチは)総理官邸が主導して作成された」についての抗議も、官僚がスピーチライターで、そして官邸の指摘は無かったということになる。外務省が積極的に政策スピーチの素案を作り、最終案ができたというのか。だいたい、申し入れの中に、報道を否定するような説明と文言自体がないのだ。
今回の外務省の抗議と「申し入れ」は、「事実と全く異なる」とだけ打ち上げて主張し、その具体的な論拠も説明もなく、世論を誘導して単に邪魔な報道に対して圧力をかけるようにしているだけではないか。
◎外務省の申し入れ
2月2日放送 テレビ朝日「報道ステーション」の報道(総理中東訪問関連)に関する申し入れ|外務省
2月3日午後5時頃,テレビ朝日に対し,同社が2日に報道ステーションにおいて,総理の中東訪問やエジプトにおいて行われた政策スピーチが外務省の意に反して行われたかのごとく報じられたことにつき,外務報道官及び中東局長の連名で,以下の内容につき,文書及び口頭で申し入れを行いました。
【文書による申し入れ】平成27年2月3日
貴社は,平成27年2月2日放送の「報道ステーション」において,シリアにおける邦人人質殺害事件につき報じる中で,総理の中東訪問に関し,「そもそも外務省関係者によれば,パリのテロ事件もあり,外務省は総理官邸に対し中東訪問自体を見直すよう進言していた」旨報じ,また,エジプトで行われた総理の政策スピーチに関し,「外務省幹部によると,この内容についても総理官邸が主導して作成されたという」と報じるなど,あたかも外務省の意に反して,中東訪問が行われ,スピーチの当該部分が作成されたかのような報道がありました。
この報道内容は事実と全く異なるものです。
総理の中東訪問については,同2日の参議院予算委員会で総理も述べられているとおり,様々な観点を総合的に判断して決めたものであり,貴社のように社会的に影響力の大きい報道機関が,このように事実に反する報道を行うことは,国民に無用の誤解を与えるのみならず,テロリストを利することにもつながりかねないものであり,極めて遺憾と言わざるを得ません。
当該報道に関し強く抗議するとともに,本日の番組の中で速やかに訂正されるよう強く求めます。
なお,同番組のその他の部分については,申し入れの対象としておりませんが,外務省としてそれらの内容について確認したものではありませんので,念のため申し添えます。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/p_pd/prs/page4_000955.html
- 関連記事
-
- 12月27日付東京新聞「本音のコラム」『テレビ報道の危機』、法政大教授・山口二郎
- 【「イスラム国」殺害】「報ステ 外務省異論にも安倍総理主導で中東歴訪」に外務省抗議申し入れ根拠なし
- 【重要】原発推進が国連総会で国際公約に? 福島事故など完全無視して議論が進行中
トラックバック(0) | [ * ]