『中国食品工場の秘密』青沼陽一郎著 小学館文庫
 中国での食品の製造がどうなっているのかやっとルポした本が出た。

 たとえば、農薬入りギョーザで問題になった天洋食品でもテレビで見た方も多いだろうが、大規模な施設でマスクや頭まで包む完全防備の作業着姿で行っていた。
 そしてテレビでは、ギョーザは手で袋に入れ包装していた。それでその際の農薬混入が疑われた。なぜ機械化しないのかと思ったが、スーパーなどの要求であまりに規格がたえず変わるので手で入れた方がよかったのだ。包装機械が無駄になるのだ。

 中国のほぼ全ての食品工場は、郊外の広い幹線道路沿いの広大な物で、甲子園より一回り広いものや、あるいはその何倍もある総合的な「工場圏」という大規模な物で同様に神経質なまでのチェック体制と安全体制が実施されている。それが日本人の要求に応えるための設備だったのだ。

 たこ焼き、串カツ、骨を抜いた魚、枝豆、甘エビ、穴子の蒲焼き、中国では食べないものや三枚に下ろしたり尾だけを残すなど習慣が違う物も作っている。そして山東半島ではあらゆる季節の野菜を作っている。多くは日本の企業が進出し開発して日本に輸入している物だ。農家を通じて農地を直接統治してうるさく監視している。

 アンコウの胃を一つ一つ調べて異物があればそのとき取れた物全部を廃棄する。
 著者が一番衝撃だと言ってるのは、山のようなゴマを一粒ずつ不良品がないか調べる気の遠くなるような作業。エビのフリッターに数粒まぶす一粒でも変色していたり形がおかしな物があると日本から苦情があるのだ。

 そして中国政府の中国検疫局CIQが執拗に立ち入りしてサンプル検査し取り締まっている。高度な分析機械も多数用意している。そのうるささはかなりのものだ。

 農薬冷凍ギョーザ事件では中国は、自国での混入を否定した。それはこれだけ日本のためにきちんと作り供給しているのにとすねてしまったのだ。日本の食糧自給率は39%と先進国最低。海外からの食料輸入は世界の10%を占めている。人口は2%なのにだ。その内訳は米国での22%に次いで中国は19%で特に細かい対応で日本人の中食化を支えている。もし日本が買わなくてもその技術で中国と世界を相手に商売できるという。いまやマグロなど水産物では中国に買い負けている時代である。日本はただ口を開けてまっていても決して流れるようには食べ物がこない時代になろうとしている。また食物の高騰で買う金がなくなるかもしれない。世界の食品の流れを知り、中国ともつきあいながら食糧の自給率を上げねばならないのだ。

 私たち日本人はお客様で安くていい物を出せとひたすら言いつのる。中国がデタラメしているとやじる。調べもしないで。
 本来この本のようなことは、新聞が調査報道したらいいことではないか。それを悪口に乗っかるだけで何もしない。あまりに怠慢である。

 ほうれん草の残留農薬、ウナギのマラカイトグリーン、そして今回の農薬入りギョーザ。だからといって中国の食品を全否定するような物ではないことが、この本を読むとわかる。それに貿易問題なのだからそんなに危ないと思うなら買わなければいいのだが、日本では感情的にただ批判だけしていい食品をよこせという。どうしていろんな国とつきあい交易して暮らすかという視点が欠けているのだ。おかしなものもあるが、日本のデタラメな食品製造で明らかになったように、日本よりははるかに厳しい品質管理をしていると思うからだ。

 私は、昔こどものころ米を作ってくれるお百姓さんに感謝しろといわれたことがある。そのときは意味がわからなかったが今はよくわかる。相身互いでお互い助け合っていることなのだ。作る物と食べる人両方がそろってこそ一対なのだ。中国で作ってくれ品質管理をしてくれる人に感謝する。そのうえで物事が始まる。一方的に決めつけたり、非難してはならないということだ。高見に立って要求ばかりではうまくいかないのだ。それに食料高騰の中いつまでも簡単に食品が買えるわけではなくなってきた。

ちなみにギョーザ事件は、
「1月23日千葉県市川市で中国産冷凍餃子を食べた五人がメタミドホスによる有機リン中毒、一人は一時重体になる。コープの昨年十月二十日天洋食品製造の餃子。

1月25日、千葉市稲毛区で中国産冷凍餃子を食べた二人がメタミドホスによる有機リン中毒。
やはり昨年十月二十日天洋食品製造のコープの餃子。

中国産餃子による有機リン中毒の被害は、今日までに、この十人。
その後、健康被害があったとされた5915人については、全て有機リン中毒ではなかったことが確認された。」
そうだ。衆議院議員 河野太郎ブログより
関連記事

FC2blog テーマ:中国 - ジャンル:海外情報

【2008/05/12 13:34】 | 中国
トラックバック(0) |  ]
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:

Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 


トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック