イラクのマリキ首相が退陣を表明した。5月汎イスラム過激派「イスラム国」ISISが大攻勢、第二の都市モスルとティクリートが陥落した非難を受けてのものだ。事態は深刻でバクダッド侵攻の恐れも。オーストラリアの大使館は陥落を想定して機密書類を整理した。すでに現実味を帯びている。
 汎イスラム過激派「イスラム国」はイラクとシリアを跨ぐ国創設を志向している。やがては全てのアラブ国境と政府の撤廃を提唱する。これまでのイラク戦争からの米国戦略と軍事は全て破綻した。介入による死者と費用は全て無効になった。「世界」2014年8月号。
 6月には国家樹立を宣言した。インターネット動画サイト「ユーチューブ」で配信されたISISの声明によると、ISIS最高指導者のアブバクル・バグダディ師をイスラム教開祖ムハンマドの後継者を意味する「カリフ」に任命した。そして、「シリア北部のアレッポから(イラクの)ディヤラまで」を「イスラム国」とし、「世界中のイスラム教徒」に対し、バグダディ師をカリフとして認め、忠誠を誓うよう求めている。ISISはシリア東部からイラク北部のモスルやティクリートを制圧し、バグダッドの北東60キロのディヤラ州に進出している。現代のイスラム過激派の、一定の実態を伴った広域の史上最初の国家樹立宣言であり、空前の事態である。これに対し、オバマは「イスラム国」へ限定空爆を決定した。

 今のイラク北部の混沌状態を作ったのは、紛れもなく米国の指導者とその協力者たちの軍国主義とネオコンだ。だが当時の責任者たちは、イラク戦争批判から威勢を取り戻し、チェイニー元副大統領「オバマはイラクを見捨てた」、英国ブレア元首相「イラク戦争がこの事態を招いたとの考えから我々を解放する必要がある」などの発言で、軍国的な攻勢をかけている。

 元のイラクはフセインは独裁者だが、世俗的で医療や福祉も整ういい社会だった。ヒジャブ(スカーフのような布で頭髪を隠すもの)すら、バクダッドでは着けない女性が多かった。イスラム原理主義からは異端視されアルカイダと無関係で、大量破壊兵器も無い。それを無理に戦争を仕掛け、全てを破壊した。それでISISによる攻勢に、またもオバマも限定空爆をかける軍事的なものに傾き、やがては派兵など泥沼化の危険が見える。

 この軍事主義の米国の全てを破壊する悪行に、今や日本も集団的自衛権と称して同調し武器輸出まで始めた。何もならないのは、今のイラクで一番よくわかるではないか。米国の軍国主義は悪夢の世界しか作らない。そして何も反省しない。日本が平和主義を捨てて悪夢の道に加担してはならない。
関連記事

FC2blog テーマ:軍事・平和 - ジャンル:政治・経済

【2014/08/15 22:39】 | 軍事支配
トラックバック(0) |  ]
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:

Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 


トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック