私はアメリカSFドラマシリーズ「スタートレック」の熱烈なファンである。小学生の時のオリジナルシリーズから各シリーズを見て楽しんできたが、もう一つ感謝したいことがある。それは、黒人が主人公のヒーローの物語を見ることができたことだ。それは「スタートレックDS-9」である。

 これは、「スタートレック」シリーズのスピンオフとして始まった、3番目のTVシリーズで、アメリカでは1993年から1999年にかけて放送された。
 舞台は宇宙ステーションで、各星を旅するスタートレックとは基本的な話の設定が違う。しかもこのステーションは辺境の惑星であるベイジョーの遠隔部に存在する。しかし銀河系のガンマ宇宙域へ通じるワームホールが発見されたことからやがては地球も含む銀河大戦へと発展する。という冒険物語。

 これは、正義だけを追求するのではなくステーションに間借りする怪しげな商店主なども物語に大きく絡んでくる。かつての新スタートレックの宇宙船の士官たちが赴任すると、そのあまりの不透明さと猥雑さにとまどい、シスコ司令官へ抗議するが、それは宇宙船とは違うと諭される始末。
 期せずして世の中はっきりと正義だと区切るわけにはいかないよという社会的政治的ドラマと化すのだ。ぜひブッシュ大統領にも見せたかった。

 そして主人公は、われらがDS-9司令官のベンジャミン・シスコ(エイヴリー・ブルックス)中佐のちに大佐である。そして彼は黒人なのである。細身ではなくどっしりとした体型で頭も大きい。なおかつ、彼はワームホール内の異次元スポットにいる超生命体に選ばれた惑星ベイジョー伝説の「選ばれし者」なのである。

 私は、1967年のアメリカ映画「招かれざる客」での娘の恋人役のポワチエの遠慮がちな演技など見てきた。しかし日常の影響はテレビドラマのほうが大きい。ところが、1980年代からはあまり米国ドラマなど放映されることもなく、数少ないテレビ番組でも黒人ヒーロー役などなかった。やはり、白人ばかりがヒーローでわき役が黒人という扱いだった。

 特に驚きなのは、日本全国放映のテレビドラマで黒人の登場人物で一番地位が高かった「ER」のベントン医師、ずっとNO.4をキープ、が消えてしまい、以後黒人は脇役二人になって、主要人物ではいなくなったこと。彼も主人公ではなかったが、主要登場人物による群像劇なので、比重はすごく大きかった。
 この傾向は放映されないなど偶然ではなく、製作国の米国のTVでは、2008年まで、ごく少数のシチュエーションコメディ(アメリカで盛んに作られる登場人物や場面が固定された連続もののコメディ)を除き、黒人が主人公の番組はないのだ。そしていずれも黒人はわき役だ。NPOにより抗議は長年されている。
 2008年11月29日のニューヨークタイムズにもそう書かれ、オバマ効果で黒人主人公が増えるのではないか、などと書かれている。21世紀の今何を言っているんだ、という思いになる。
 しかし、それでは偏見などなくてもかっこいいとか、ヒーローとしてあこがれるなどという感覚はやはりできないものだ。そう痛感する。

[ベンジャミン・シスコ司令官] wikipediaから
ベンジャミン・シスコ司令官
 しかし、「スタートレックD-9」は、私の感覚を根幹から変えてくれた。心からあこがれかっこいい主人公を黒人の中から見出したのだ。これは本当に得難い体験だったと思う。

そしてシドニー・ポワチエが開拓者としてやむを得ない面はあっただろうが、いかに白人に期待される優良な黒人俳優として存在したか思い知った。
 みなさんはそういう経験がおありでしょうか。そしてオバマ大統領が誕生した今どう思われますか。

 黒人はのさばっている、黒人をやっつけるんだ、そういう映画はすごく多い。「メリーに首ったけ」とか「ロッキー」、「ロッキー2」とか。まるで批評で言われないけど露骨な黒人叩き映画だ。
●「メリーに首ったけ」 白人の恋人たちの間に入ってジャマするのは、なぜか厚かましい黒人の義父。反感を抱かせるためのあからさまな設定なのだ。
●「ロッキー」、「ロッキー2」は、黒人アポロがチャンピオンで敵役で、にくにくしげな彼をたたきのめしてロッキーはより高みへ上がる。

 レーガン大統領が福祉政策を大きく切り落とした時も黒人に対する反発を巧みに利用した。

 実は、ホワイトハウスは、その基礎工事は黒人奴隷によって築かれたものだ。いやホワイトハウスだけではない。
「連邦議会議事堂やホワイトハウスを含むアメリカの歴史的な建物も奴隷の労働力が基盤となって建設され」たのだ。
http://www.eigotown.com/eigocollege
/westwing/backnumber/westwing_14.shtml


 そして第4代マディソン大統領ら歴代の8人が奴隷を使っていた。
 これはかなり有名になったが、ミシェル大統領夫人の曾祖父の1人はサウスカロライナ州で奴隷だった。

 オバマが、アメリカ覇権体制崩壊の危機の中、その黒人奴隷が築いたホワイトハウスに入る。

 危機だから選ばれたのだという声はある。確かに金融危機さえなければマケイン政権という最悪の選択になっていただろう。だが歴史は彼を選択したのだ。

 グァンタナモの軍事法廷と収容所を閉鎖する命令を出した。まあその一歩だと思うのだ。

 そしてきちんとガザに向き合うことだ。それなしではありえない。どうなるか。
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【2009/01/22 23:54】 | アメリカ
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