昨日のNHKの「プロフェッショナル」で築地市場マグロ仲買人の藤田浩毅さん(45)を取り上げていた。
 マグロというのは、目利きがなかなか大変な魚なんだなと思う。暴れて獲るとき身に焼けが起きるというのは初めて知った。そうするとボソボソになり赤味は使えなくなる。何十万円の損害だ。

 テレビに出なかったことを。あの築地でセリの手配をしている人をセリ担当者というが、マグロを集めてくる水産卸売会社の社員である。漁協から販売委託されている。だから、セリの値段はダイレクトに漁協・生産者に跳ね返る。本マグロは、本間や三崎などのブランド力があるものは売りやすい。それは食べる人にも出しやすいからだ。それらとは違うものは築地といえども難しい。それなのに岩手県山田の三陸沖の無名のマグロに藤田さんは有名産地と同じくらいの値段を付けた。すごいことである。藤田さんの卸としての信用力なんだと思う。それでも藤田さんを信頼して買ってくれる寿司職人がいるからそれができるのだ。

 藤田さんは大学卒業後に父親の店を手伝いそのまま後を継いだが、マグロではないサバやイカなどの小物といわれるものの仲卸問屋だった。

 しかし、マグロに興味を持ち、セリ場に行き触ったところ「駄魚屋(だぎょや)は触るんじゃない!」と、マグロ仲買業者から激しくののしられた。しかしすごい悪言葉だ。そのくやしさで「何があってもマグロを扱う」と心に決めたそうだ。意地の強い人なんだ。そして、購入資金をつくるためにマグロを取り扱うと資金を作るため毎日20時間魚のおろしのアルバイトをやった。すごい。執念だな。そしてマグロを扱うようになって十年間。さまざまのことがあった。

島根県境港卸売市場マグロ[島根県境港卸売市場]

 でも私達が食べるマグロはこれほど高級ではない。これは格別高い寿司屋さんにいくマグロの話だ。私たちのマグロは関西は鳥取県の境港から来ることも多い。あれはどういう形で来るかご存じだろうか。
 段ボール箱に氷詰めで冷蔵車で来る。そしてインドネシアなど各国から来るマグロは冷凍ものだ。

 一時燃料の高騰でもう私たちの食べるマグロはなくなるのではと思った。それは下がり何とかなったが、今度は漁獲制限で難しくなる。そして中国も食べるようになって買い負けはじめている。

つい1980年代以前は、マグロは日本人しか食べなかった。しかし、1990年代にまず台湾でマグロブームが起こり、続いて2000年代に成長が続く大陸中国にこのブームが波及した。そして北米の寿司ブームへ。今やマグロを食べるのは世界15億人に達した。かつての1億3千万人と比べるといかに多くなったかわかる。それでも日本の消費は世界一で全マグロの3割を食べてる。中でも、大トロが取れる高級マグロのクロマグロは8割近く、ミナミマグロは9割以上が、日本で食べられている。

 しかしだ。実は、私たちはすぐ古来から食べているんだと言いたがるが、普通にマグロを食べるようになったのはスーパーができてそこで売るようになってからでそれまでは日常そんなに食べてなかったそうだ。だから年月はたってない。日本人が一般食として食べるようになったというのもマグロブームの世界での開始だったのかもしれない。
 確かに子供の頃マグロなんて頻繁に食べてなかった。

 ところが、この世界食となった中で、あるだけ取るといった乱獲となり、みるみるうちにマグロは世界で消えていこうとしているのだ。大変。それで漁獲規制が浮上した。

 やはり世界最大のマグロ消費大国である日本も、国産マグロから輸入するマグロに変わっている。規制が行われれば確実に入ってくるマグロは減る。何しろ、1980年代には約30カ国だった日本へのまぐろの輸出国数は、20年後の2005年には50カ国を超え、主な日本のマグロ輸入相手国は、オーストラリアやスペインなどだが、台湾や韓国のような日本近国、グァムやスリランカなどまで広がっているのだ。世界からマグロを集め喰いまくっている日本、てな感じだ。

 乱獲のこれまでを見てみる。
 西大西洋で取れるクロマグロは、1960年代のピーク時には1万トンもの漁獲量、しかしその後は減少傾向。

 東大西洋で取れるクロマグロは1970年代以降上昇し、1990年代中盤のピークで、5万トンも採って、それで急速に漁獲量が落ち込み、現在では2万トン程度。

 それ以外の種類では、ミナミマグロは、1960年代初頭には8万トン以上の漁獲量でピークを迎え、その後大きく減少し現在では1万トン前後。

 メバチマグロは、太平洋海域で、2000年代初めまで上昇し、約10万トン前後の漁獲量。しかし2000年以降は少し減少し、現在では10万トン未満。この乱獲の波は現在は大西洋海域に移り、メバチマグロの漁獲量は徐々に上昇し続け、現在は6万トン前後の漁獲量。

 獲ってとって採りまくってやがていなくなってしまう。

 規制機関は、大西洋マグロ類保存国際委員会(ICCAT)、全米熱帯マグロ類委員会(IATTC)、ミナミマグロ保存委員会(CCSBT)、インド洋マグロ類委員会(IOTC)、中西部太平洋マグロ類委員会(WCPFC)の五つの機関で、資源管理に取り組み、日本は五つすべてに加盟しているのだ。

 このうちミナミマグロ保存委員会(CCSBT)は、2006年10月、ミナミマグロ(別名インドマグロ)の総漁獲枠を2007年から3年間(日本だけ5年間)1万1530トンに設定した。2006年の漁獲枠の2%減で、日本だけが年約6000トンを3000トンに半減させられた。これは日本が違反して割り当て量を大幅に上回って漁獲したことに対する罰だった。何をやっている。

 全米熱帯マグロ類委員会(ICCAT)は2006年11月、東大西洋クロマグロの漁獲可能量(2006年3万2000トン)を2007年2万9500トンから10年2万5500トンへと段階的に削減することや、体重30キロ未満の小型魚の採捕・保持・陸揚げの禁止などを決めた。削減率は4年で20%。また、西大西洋クロマグロの漁獲可能量(2006年2700トン)は2007~2009年まで2,100トン(日本の漁獲枠は380トン余り)とされた

 東大西洋の規制が2割と断然厳しい。小規模の漁業者の乱獲が激しいのだと思われる。何しろ小型の子供のものまで入ってくるそうだ。これは東大西洋で獲ったものでは。

 でも、後の3つの機関はまだ規制を決めていない。マグロ規制は始まったばかりなのだ。
 しかし日本は当面は何しろマグロ輸入大国なので、他の国の割当量から輸入されてくる。やがては影響は出てくる。

 私も昔、自炊するようになってマグロを食べる量がはっきりと増えた。でも今さら食べられないなんて嫌だなあと思う。刺身も鉄火巻きも食いたい。クロマグロは養殖技術が確立された。、回転寿司の鮪は1皿200~300円程度だが、これは養殖物だ。私たちがスーパーで安く買えるのもそうだ。

 これが高級なお寿司屋さんになると、1貫3千~5千円となって天然物だ。
 乱獲しないで、生態系を崩さないで、どうかこれからも食べられるようにと願うが、もしガマンが必要というなら仕方ないかと思う今日この頃なのだ。
関連記事

FC2blog テーマ:マグロ - ジャンル:グルメ

【2009/01/20 23:58】 | 食・農魚業
トラックバック(0) |  ]
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:

Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 


トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック