正直海賊対策での自衛艦派遣問題が出てくるまでソマリアの国名しか知らなかった。読まれている方の大方がそうだろう。

日本の2倍の国土面積、840万人の人口。

 実はソマリア政府は崩壊し憲法も廃止され無いのだ。3年連続失敗国家リストの1位である。そしてエチオピアの支援を受けた暫定政府とイスラム勢力「法廷会議」との間の内戦状態にある。混乱状態だけで政府がなく無政府状態である。
 2006年12月末に暫定政府がやっと首都モガシュを制圧したが、対立と内戦は続く。

[ソマリア地図]パブリックドメイン
ソマリア地図 普通なら状況が安定しないのに軍隊を出すことはない。そもそも海賊の問題ではなくソマリアの内政の問題ではないか。
 海賊は始めは、世界有数の漁場であるソマリア領海への違法外国漁船の操業を実力停止させるために、当時の沿岸の漁民たちにより行われた。それが海外船も襲撃できると、ビジネス化してしまったのだ。すべて無政府状態の中の実力行使の中で起こったことだ。

 しかも、こういうなかでアフガニスタンのタリバンに似た形でイスラム原理主義勢力アルシャバーグが台頭してきている。ますます混乱に輪をかけている。

 アルシャバーグは外国軍が制圧しようとすると反撃する。イラクやアフガニスタンで繰り返してきたことが起こるのだ。日本もその泥沼の紛争に巻き込まれたいのだろうか。内戦無政府状態の中で海賊が起こっているからといって、先進国が安定化に協力したり働きかけることもなく、軍隊で攻めよせて介入しようとしているのだ。

 陸上派遣ができないから、アメリカ、イギリス、ロシア、中国、インドが海軍を派遣、それでは根本的な解決にならないことが分かっているが海上に派遣しているという形だ。

 私たち日本は、カンボジアの内戦がほぼ終結した時に、政府が自衛隊をPKOとして派遣して、復興と安定に協力した。それは高い評価を受けた。それを忘れたのだろうか。

 ブッシュ政権時代に国連安全保障理事会は、国連PKO平和維持軍派遣が盛り込まれた決議をしているが、混乱状態で手がつけられない。潘基文国連事務総長は「維持すべき平和がない」と発言している。

 赤星慶治海上幕僚長は、
「海上自衛隊発足以来、海賊というものに対する議論、検討、教育は一切ないので、現時点ではどういう状況になるか想像がつかない」と疑念を表明している。

 あまりにこういう中で適当に出そうというのは危険ではないか。しかも日本は各湾岸諸国とずっと平和的関係を維持している唯一の国なのだ。それが大きく傷つく。

 サウジアラビアが仲介に入ろうという動きがあるので、それに協力したほうがいいと思う。内戦をやめさせ和解し内政問題として海賊をやめるように生活援助する。内戦が終わらないとどうしようもない。

 しかも、下記のように紛争が多発している。日本が紛争の当事国となるのは必至だ。


wikipedia「ソマリア沖の海賊」「各国海軍と海賊との海戦」から
http://ja.wikipedia.org/wiki/
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 2006年3月18日、アメリカ海軍のタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦「ケープ・セント・ジョージ」、及びアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦「ゴンザレス」の2隻がソマリア沖で海賊と交戦する事件が発生した。2隻のアメリカ軍艦は海賊との銃撃戦を約25海里に渡って行った結果、海賊1名が死亡し、5名が負傷したと報告された。

2008年11月11日にはイギリス海軍の22型フリゲート「カンバーランド」、及びロシア海軍ネウストラシムイ級フリゲート「ネウストラシムイ」の艦載ヘリコプターが海賊に襲われた貨物船の救助に駆けつけ、イギリス海兵隊が海賊と交戦する事件が発生した。(詳細は2008年11月11日の活動を参照)

2008年11月18日にはインド海軍のタルワー級フリゲート「タバール」がオマーンの沖合約530km地点で不審な船団を発見。海賊の母船の特徴と合致していたことから臨検のための停船を呼びかけたところ船団がそれを拒否、フリゲートに向け発砲してきたため主砲により反撃して撃沈する事件が発生した。しかし同26日、国際海事局はインド海軍が「海賊船」だとして撃沈した船が、海賊に乗っ取られたタイの水産会社に所属するトロール漁船であると発表した。この件についてインド海軍は事件の写真を公開し、相手が攻撃してきたため応戦したのであり、正当防衛であったと主張している。国際海事局は、インド海軍がこのタイ漁船がハイジャックされていると言う情報を受け取って居なかった可能性もあるとコメントしている。この漁船に乗り組んでいたカンボジア人1人が救助され、タイ人1人が死亡、14人が行方不明になっている。

2008年12月13日、インド海軍のデリー級駆逐艦「マイソール(Mysore)」は、イエメンの沖合約280kmのアデン湾上でエチオピアの貨物船から「2~3隻の高速艇に乗った海賊から攻撃を受けている」との救難信号を受信した。マイソールは即座に海兵を乗せたヘリコプターを現場に急行させ海賊船を攻撃したところ、海賊は貨物船の襲撃をやめ逃走。マイソールとヘリコプターは追跡を続け2隻の高速艇に乗り込みこれを制圧、これによりインド海軍はソマリア人12人とイエメン人11人からなる23人の海賊を逮捕・拘束し、7丁のAK-47アサルトライフルに装填済の弾倉13個に加えRPG-7対戦車ロケット擲弾筒1基、さらにGPS装置やボート用の船外機などが押収された。23人の海賊は平和的に投降したという。

2008年12月25日イエメン沖でエジプトの貨物船がソマリアの海賊に襲撃された。ドイツ海軍が救難信号を受けてフリゲートから哨戒ヘリを発進させて、海賊を撃退した。この事件で、エジプト貨物船の乗組員1人が負傷した。

2009年1月13日、ロシア海軍の大型対潜艦「アドミラル・ヴィノグラドフ」は、アデン湾を航行中のオランダのコンテナ船「ネドモルド・バレンス」から「海賊の3隻の高速艇が船尾から接近しており、小型武器による攻撃を受けている」との救難信号を受信した。アドミラル・ヴィノグラドフはヘリコプターを現場に急行させ、海賊船を威嚇射撃したところ、1隻の海賊艇はイエメン領海に逃げ込んだが、あとの2隻はアドミラル・ヴィノグラドフの臨検グループにより制圧、海賊を拘束した。海賊3名がロシア海軍の銃撃により負傷した。海賊は麻薬中毒と診断され、イエメン沿岸警備隊に引き渡された。アドミラル・ヴィノグラドフは、1月11日、警備艦「ネウストラシムイ」からアデン湾における任務を引き継いでいた(しかしCNNは、1月15日配信のニュースで、「ロシア軍は高速艇を追跡したが、振り切られた」とだけ報じ、2隻を拘束した事を無視した)。




2009.2.1TBS「サンデーモーニング」を参照

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【2009/02/01 16:32】 | 戦争と平和
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[2/9追記] 末尾の、堤未果さんのコラム内容は、海賊についてはあまりに違うことがわかった。海賊の状態はここに新しく書いた。ただし、このエントリの内容は相変わらず基本的には変わらないので残すことにした。
http://isiki21.blog45.fc2.com/blog-entry-155.html




 ソマリアの海賊対策に自衛隊戦艦を派遣して海賊船を停止させるための船体射撃への武器使用を認めると自民党・公明党の与党プロジェクトチームが合意した。警察活動での武器使用は武力行使ではないという理屈だ。
 海外に行って船や人に危害を加える、射撃するのなら、私たちが戦後歩んできた平和日本の道を根底からひっくり返すことだ。しかし、なぜ海賊被害が多発するのか、よく考えるべきだ。
 末尾引用のように、廃棄物による薬品被害のせいで海賊になったという情報もある。そうなのだ。私たちは何も調べていない。

 もし、人が死んだり船が沈んだりしたら私たちは中東での信頼を失い、敵になってしまう。アメリカと同じように世界から孤立したいのか。なんという稚拙な、拙速な決定だろう。

 自民党は過去から、海上警察行動のための海上保安庁の巡視船に機関砲を設置したのを皮切りに、巡視船を重武装化してきた。武力行使ではないという口実のためである。

 92~93年には、再処理済みプルトニウムをフランスから日本まで海上運搬輸送警備に、巡視船「しきしま」をわざわざ建造、対テロ特殊部隊まで設立した。この「しきしま」という船、排水量6500トン、大小4基6門の機関砲で武装し、大型ヘリを2機搭載し、通常の巡視船には必要ない対空レーダーまで装備している。巡視船としては排水量世界一、武装も日本の巡視船の中では一番という船まで作った。

 2001年の20ミリ機関砲射撃による不審船撃沈を受けて、2002年8月には、重武装の新型巡視船3隻建造を決定。長さ約95メートル、約1、800トン。動く目標でも正確な射撃が可能な自動照準式の40ミリ機関砲(射程5キロ以上)や、夜間でも不審船を捕捉できる赤外線監視装置などを搭載する。速度は、通常の巡視船より速い30ノット(時速約56キロ)以上。不審船の追跡を支援するため、後甲板にヘリコプターが発着できるスペースまで設けた。

 そしていよいよ自衛官に逮捕権限がないため海上保安庁の海上保安官を乗船させて、自衛艦船による警察行動という言い訳を作って派遣する。
 武器使用したいがためにだけ急いで艦船を派遣しようとしているとしか思えない。自衛艦が射撃しておいて、いや警察行動で武力行使ではないと、民衆に通ると思っているのだろうか。世界は与党の慰みのためにあるわけではない。心から軽蔑する。
 そんなくらいなら自衛隊が戦艦で行かずに、ソマリアに救援に行ったほうがいい。それが求められていると思うのだ。

東京新聞」2009年1月19日『本音のコラム』より

海賊の正体  堤未果

 ソマリア海域の海賊事件が急増し、国際海事局が各国に協力を呼びかけている。海上自衛隊派遣の議論が高まる中でふと思う。そもそもこの「海賊」は何者なのだろう?

 UNEP(国連環境計画)の職員ニック・ナトール氏は英紙のインタビューで、1990年代初めに欧米の大企業がソマリアの政治家・軍幹部と交わした廃棄物投棄協定について指摘する。

 内容はそれらの企業が今後ソマリア地域沿岸に産業廃棄物を投棄することを認めるというものでだ。その後、放射性物質に汚染された地域住民数万人が発病。国連が調査した結果、有害化学物質によるものであることが明らかになった。海域を汚染する外国企業に生活手段を奪われ、いくら訴えても動かない国連に見切りをつけたソマリア漁民は自ら武器をとり、やがては「海賊」と呼ばれるようになったという。

 別な立場の人々に目線を合わせる事は、時にもっと大きな敵の存在に気づかせる。あるイラク帰還兵は私に言った。「本当のテロリストは誰なんだ?」と。

 現実に起きている惨事への対応は待ったなしだ。そこに至る状況を作り出してきた時系列での丁寧な検証は、毎日各地で罪のない人々の血を流し続ける紛争の類似性と、欲望が作り出すもう一つの世界地図を浮かび上がらせるだろう。真の歴史教育が変革を後押しする。(ジャーナリスト)


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【2009/02/01 00:01】 | 戦争と平和
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