阿倍内閣での官僚スタッフだった高橋洋一東洋大学教授が「職員の退職管理に関する政令」で法律をひっくり返した規定を設けて省庁あっせんを復活させていると「週刊文春」や「アエラ」に書いている。
 この人は「小泉改革」の礼賛者であるし、俺がこの法律を書いたのに違うことをやっているという官僚的態度が満載なので好きではない。しかし、どういうことか検討したい。

 改正国家公務員法では、退職後の再就職でこれまで野放しに事実上なっていた天下りを規制した。
 これまでは、省庁自体による天下り先を関係営利企業や独立行政法人などの関係団体にあっせんしていた。そのせいで、数年で退職しては退職金をもらう渡りを繰り返して中には累計して数億円をもらっていた連中もいた。だいいち関係営利企業や団体には役所との顔つなぎをしていたのだ。腐敗の温床なわけだ。この天下りこそが霞ヶ関官僚の利権の柱の一つだった。

 この改正で、官僚による省庁あっせんを禁止して、再就職先のあっせんは営利関係の圧力や顔つなぎが発生しないように「官民人材交流センター」に一元化した。

 ところが経過規定として次の附則で、3年間は内閣府にできる再就職等監視委員会の承認のもとに省庁あっせんを認めた。これはヘタに政令などでストップさせないため、次の附則の末尾のように、
「2  前項の規定による内閣総理大臣が承認する権限は、再就職等監視委員会(以下「委員会」という。)に委任する。」
と、はっきりうたっている。

 ところが、民主党はこのあっせん三年間継続を問題にして「再就職等監視委員会」の委員人事同意を認めず、発足できなかった。すると勝手に「職員の退職管理に関する政令」で、
「(委員長等が任命されるまでの間の経過措置)
第二十一条」(末尾に引用)
で、内閣総理大臣つまり省庁にあっせんができるように法律に違反して省庁側に戻してしまったのだ。

 それで麻生総理はこの政令通り「厳格にやる」つまりは省庁の言うとおりやる、と言い張っていたわけだ。ところがあまりの官僚の言いなりに国民が怒ったら「首相在任中は認めない」と言い始めたのだ。
 でもこの政令は、官僚主導によるクーデーターなのだ。それを認めていたほうがおかしいのだ。国会や法律の上に政令があるという形である。

 以前70年代には通達で事実上の法律改正をしたと報道会見で明言した官僚がいた。それでも問題にならないような国だった。今回は政令だが、まだそんな感覚なのかとあきれる。麻生首相も何もわからないのではないか。

 実は日本法律の作り方もおかしいのだ。大枠だけ決めてすべてを政令に委任するという形の法律があまりに多い。つまりは官僚内閣制なのだ。
 米国ではたとえば「2009年水資源法」などと箇所付までいちいち書いている。だから作業も膨大なものなので、専門委員など必要な体制が整っている。日本ではどこまでするか課題だがそろそろ法律作りのやり方までさかのぼって議論すべき時なのでは。

 今回はあいまいにせず、ちゃんと法律を越えたような政令を廃止しないといけない。

 それと法律は高橋洋一が作ったのではないからご本人も勘違いしないように。問題が起きないように工夫されて、内閣が提案し、そのときの国会が作ったのだ。

  頭が痛くなるから読まなくてもいいけど、一応問題の付則条文です。


(営利企業への再就職の暫定的規制)
第四条  施行日から三年を超えない範囲内において政令で定める日までの間、職員(職員であった者であって離職の日から起算して二年を経過していない者を含む。)は、離職前の在職機関(離職前五年間に在職していた政令で定める国の機関、独立行政法人通則法第二条第二項に規定する特定独立行政法人、郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)第百六十六条第一項の規定による解散前の日本郵政公社又は都道府県警察をいう。)と密接な関係にある営利企業として政令で定めるものの地位に就くことを承諾し、又は就いてはならない。
2  前項の規定の適用については、次に掲げる職員は、同項に規定する職員に含まれないものとし、次に掲げる職員以外の職員が次に掲げる職員となった場合には、その時点で離職したものとみなす。
一  常時勤務を要しない官職を占める職員(国家公務員法第八十一条の五第一項に規定する短時間勤務の官職を占める職員を除く。)
二  臨時的職員
三  条件付採用期間中の職員
3  第一項の規定は、国と民間企業との間の人事交流に関する法律第二十条に規定する交流採用職員が離職後同条に規定する交流元企業の地位に就く場合には、適用しない。
4  第一項の規定は、任命権者又はその委任を受けた者の要請に応じ、引き続いて独立行政法人通則法第二条第一項に規定する独立行政法人その他特別の法律により設立された法人でその業務が国の事務又は事業と密接な関連を有するもののうち政令で定めるもの(退職手当(これに相当する給付を含む。)に関する規程において、職員が任命権者又はその委任を受けた者の要請に応じ、引き続いて当該法人の役員又は当該法人に使用される者となった場合に、職員としての勤続期間を当該法人の役員又は当該法人に使用される者としての勤続期間に通算することと定めている法人に限る。以下この項において「退職手当通算法人」という。)の役員又は退職手当通算法人に使用される者となるため退職する職員であって、当該退職手当通算法人に在職した後、特別の事情がない限り引き続いて選考による採用が予定されている者のうち政令で定めるものについては、適用しない。
5  第一項の規定は、政令で定めるところにより、職員が所轄庁の長又は当該職員の勤務する特定独立行政法人の長(当該職員が既に離職している場合には、離職時の所轄庁の長又は離職時に勤務していた特定独立行政法人の長)の申出により内閣の承認を得た場合には、適用しない。
6  内閣は、前項の承認の申出が、公務の公正性の確保のための基準として政令で定めるものに適合すると認める場合でなければ、同項の承認をしてはならない。
7  内閣は、職員が第一項の政令で定める営利企業の役員の地位に就くことを承諾し、又は就こうとする場合を除き、離職前五年間に管理又は監督の地位にある職員の官職として政令で定めるものに在職した期間のない職員についての第五項の規定による承認の権限を、政令で定めるところにより、当該職員の所轄庁の長又は当該職員の勤務する特定独立行政法人の長(当該職員が既に離職している場合には、離職時の所轄庁の長又は離職時に勤務していた特定独立行政法人の長)に委任することができる。
8  第一項の規定に違反して営利企業の地位に就いた者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
9  施行日から第一項の政令で定める日までの間にした同項に規定する行為に対する罰則の適用については、同項の政令で定める日後も、なお従前の例による。

(他の役職員についての依頼等の規制の特例)
第五条  前条第一項に規定する政令で定める日までの間、公務の公正性の確保を図りつつ職員又は特定独立行政法人の役員(以下この項において「役職員」という。)の離職後の就職の援助を行うための基準として政令で定める基準に適合する場合において、政令で定める手続により内閣総理大臣の承認を得て、職員が当該承認に係る他の役職員又は役職員であった者を当該承認に係る営利企業等(営利企業及び営利企業以外の法人(国、国際機関、地方公共団体、特定独立行政法人及び地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第二項に規定する特定地方独立行政法人を除く。)をいう。以下この項及び次条において同じ。)又はその子法人(当該営利企業等に財務及び営業又は事業の方針を決定する機関(株主総会その他これに準ずる機関をいう。)を支配されている法人として政令で定めるものをいう。以下この項において同じ。)の地位に就かせることを目的として当該営利企業等に対し、当該役職員若しくは役職員であった者に関する情報を提供し、若しくは当該地位に関する情報の提供を依頼し、又は当該営利企業等若しくはその子法人の地位に就くことを要求し、若しくは約束するときは、第一条の規定による改正後の国家公務員法(次条において「改正後の法」という。)第百六条の二の規定は、適用しない。
2  前項の規定による内閣総理大臣が承認する権限は、再就職等監視委員会(以下「委員会」という。)に委任する。



 これが問題の政令「職員の退職管理に関する政令」の条文ですが、これは何を言わんとしているかわからないでしょう。内閣にもわからないようにしたのでしょうか。

(委員長等が任命されるまでの間の経過措置)
第二十一条
 改正法の施行の日から委員会の委員長及び二名以上の委員が最初に任命されて法第十八条の四、第百六条の三第三項及び第四項、第百六条の四第六項及び第七項並びに第百六条の二十一第三項の規定並びに改正法附則第五条第二項及び第三項の規定が適用されるに至るまでの間、法第百条第五項、第百六条の三第五項、第百六条の四第八項及び第九項、第百六条の十六、第百六条の十七、第百六条の十八第一項、第百六条の十九、第百六条の二十第一項及び第三項並びに第百六条の二十一第一項及び第二項の規定、改正法附則第五条第四項の規定並びに第八条第二項、第九条、第十条、第二十三条、第二十五条、附則第十二条第二項、附則第十三条第二号、附則第十四条及び附則第十五条の規定の適用については、法第百条第五項中「第十八条の四の規定により権限の委任を受けた再就職等監視委員会」とあるのは「第十八条の三第一項の規定により内閣総理大臣」と、「同項」とあるのは「前項」と、「「再就職等監視委員会」とあるのは「「内閣総理大臣」と、法第百六条の三第五項中「再就職等監視委員会が第三項の規定により委任を受けた権限に基づき行う承認(前項の規定により委任を受けた権限に基づき再就職等監察官が行う承認を含む。)」とあるのは「内閣総理大臣が第二項第四号の規定により行う承認」と、「、再就職等監視委員会」とあるのは「、内閣総理大臣」と、法第百六条の四第八項中「再就職等監視委員会が第六項の規定により委任を受けた権限に基づき行う承認(前項の規定により委任を受けた権限に基づき再就職等監察官が行う承認を含む。)」とあるのは「内閣総理大臣が第五項第六号の規定により行う承認」と、「、再就職等監視委員会」とあるのは「、内閣総理大臣」と、同条第九項中「再就職等監察官」とあるのは「内閣総理大臣」と、法第百六条の十六から第百六条の十九までの規定中「委員会」とあるのは「内閣総理大臣」と、同条中「監察官」とあるのは「その指名する者」と、法第百六条の二十(見出しを含む。)中「委員会」とあるのは「内閣総理大臣」と、同条第一項中「監察官」とあるのは「その指名する者」と、法第百六条の二十一第一項及び第二項中「委員会」とあるのは「内閣総理大臣」と、同条第一項中「監察官」とあるのは「その指名する者」と、改正法附則第五条第四項中「委員会が第二項の規定により委任を受けた権限に基づき行う承認(前項の規定により委任を受けた権限に基づき再就職等監察官が行う承認を含む。)」とあるのは「内閣総理大臣が第一項の規定により行う承認」と、「、委員会」とあるのは「、内閣総理大臣」と、第八条第二項中「求職の承認をした再就職等監視委員会(求職の承認の権限が、第十一条の規定により、再就職等監察官(以下「監察官」という。)に委任されている場合にあっては、監察官。次条及び第十条において「委員会等」という。)」とあり、第九条及び第十条中「委員会等」とあり、第二十三条中「委員会(依頼等の承認の権限が、次条の規定により、監察官に委任されている場合にあっては、監察官)」とあり、第二十五条中「監察官」とあり、附則第十二条第二項中「就職の援助の承認をした委員会(就職の援助の承認の権限が、附則第十七条の規定により、監察官に委任されている場合にあっては、監察官。以下「委員会等」という。)」とあり、並びに附則第十四条及び第十五条中「委員会等」とあるのは「内閣総理大臣」と、附則第十三条第二号中「委員会等の名称又は氏名及び」とあるのは「者及びその」とし、第十一条、第二十四条及び附則第十七条の規定は適用しない。
2 前項の規定により読み替えて適用される法、改正法及びこの政令の規定により、内閣総理大臣がした承認その他の行為又は内閣総理大臣に対してされた承認の申請その他の行為は、委員会の委員長及び二名以上の委員が最初に任命された時以後においては、同項の規定の適用がないものとした場合における相当規定により、委員会若しくは監察官がした承認その他の行為又は委員会若しくは監察官に対してされた承認の申請その他の行為とみなす。


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【2009/01/30 20:36】 | 政治・経済
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