大変売れた三菱UFJ証券参与・チーフエコノミスト水野和夫『金融大崩壊』NHK新書の中に、衝撃的な部分がある。

 現在、日本の大企業では労働分配率が急速に落ちています。……労働分配率は73~74年のオイルショックの後ずっと上昇しましたが、大企業の労働分配率をみると90年代半ばから下がり、現在は71年の値にまで下がっています。……労働側からいうと福祉元年からの成果をすべて取り上げられたことになります。
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 さらに株主の資本を使ってどれだけ利益が得られたかを示す数値、つまり株主資本利益率を見てみると、ここ数年日本は10%程度で、この不況下でさらに下がっています。一方同時期の欧米は15~20%程度です。


 それで、外国の投資家も多い株主が逃げないために欧米並みに株主資本利益率を高めようとする。それで労働分配率をさらに5対5に下げようとする。「日本の大企業に努勤めれば豊かになれる」という状況ではなくなる。大企業に勤めていても、はっきりと金額で前年より下がることになる。
仮に国家が国民の保護を打ち出して資本の活動を規制しても国外に逃げていくだけで、できることは限られている。

 つまり、全体の労働分配率が減っていく中で国内の経済格差はさらに広がるのです。日本ではまだ、多くの人が預金を取り崩せないと生活できないというほどには、追い込まれていません。しかし、2割の世帯では、すでに預貯金が底をついています。これからは借り入れが発生するようになるでしょう。企業は雇用を控え、非正規雇用がさらに増加する可能性が高くなっています。


 一応財界の考え方と同様だと言っていいと思うのだ。なるほど株主資本利益率を高めたいのか。この前の景気のときでも格差社会が広がったがそれは序の口で、この不況下とそれから脱しても、多くの勤め人がますます給料が下がり、それ以外の多数を貧困のどん底に落とす社会にしようと考えている。

 そのモデルとして岩波新書の『貧困大国アメリカ』のような世の中を考えているのでは。結局アメリカがモデルなのだ。

 2005年アメリカで「飢餓状態」を経験した人口は3510万人(アメリカ農務省発表)で全人口の実に12%。そのうち2270万人は成人で、1240万人は子供たちだ。

 この人たちは、フードスタンプという食券をもらって学校や施設で食べ物を手に入れる生活をしている。

 2006年アメリカ国内歳入局の発表では、1日7ドル以下の収入で暮らすアメリカ人が6000万人いる。

 正直、今の支配層や特に財界の連中など、自分たちにとって何の役にも立たないと見る国民をないがしろにしようと考えているだけだと思う。それで株主利益分配率が上がっても何のためなのだ。国外に逃げるならにげてみろ。

 私たちの手で日本の福祉社会をより豊かに再建しなければいけない。日本はそんな貧困な世の中になるような力のない社会ではない。ブログ論壇でグランドデザインを描き、自民党公明党、マスコミと財界に突き付ける必要があると思う。

【2009/03/02 23:59】 | 政治・経済
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