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 一昨日27日に書いた、木村盛世検疫技官の政府参考人招致は、民主党の鈴木寛議員のがんばりで理事会で招致が決定し、昨日28日に参議院予算委員会で国立感染症研究所の森兼啓太主任研究官と木村盛世検疫技官の政府参考人による質疑が行われた。

 森兼主任研究官は「検疫は、有症状者を見つけることに関しては当然ながら有効」とする一方、「それに要する人手と、お金、時間、手間、そういったところのバランスというところではないか」とした。実際の対応については、成田空港の「水際対策」で日本最初の感染者が4人確認された際に、「皆さん、わたしも含めてそちらの方に目が向いてしまって、国内の態勢がワンテンポ遅れた」と指摘。

「これは大きな教訓として、第2波以降に備えるべきだと思う。国内の対策も水際対策も、両方とも大事」と強調した。検疫縮小のタイミングについては、「国内例が見つかって最初(の16日)から48時間ぐらいで150人ぐらいの患者が検知された。国内でも既に流行しているということが分かった。

この時点で国内の検疫体制を速やかに縮小すべきだったと思う」と述べた。これに関しては、19日に舛添要一厚労相に機内検疫をやめて有症状者のスクリーニングに切り替えるよう提言したといい、3日後の22日に対処方針を改めて機内検疫を中止したことについて、「こういったスピード感を持った対策は非常に良かった」と評価した。

 一方、木村厚生労働省技官は「現場としては(検疫態勢は)大して変わっていない。今もかなりの労力をかけて検疫を行っている最中。そういう意味では人的にもかなりの負担を強いられている状況」と説明。

「検疫偏重」となった理由として、「毎日毎日、マスクを着けて検疫官が飛び回っている姿は、国民に対してアイキャッチ。パフォーマンス的な共感を呼ぶ。そういうことで利用されたのではないか」

「検疫では国が主体となる検疫法に基づいて動くが、国内に入ると感染症法で、地方自治体の主導になる。感染症法という“国内お任せ”をある意味、想定外とした厚労省の考え方があったのではないか」

「医系技官の中で、十分な議論がされないまま、十分な情報の見直し、収集がされないまま、このような検疫偏重が起こったのではないか」の3点を挙げた。



[質疑内容] 2009/05/28 18:13 キャリアブレイン「検疫偏重」で議論―参院予算委から(BY「晴天とら日和」)

 木村盛世技官の言われるとおり、膨大な費用と人員と手間をかけた水際作戦は一体何なのか、何の役に立ったのか、その反省が出てこない。

 国立感染症研究所の森兼啓太主任研究官の言葉は異様なよいしょぶりである。まあ、そのよいしょのために出てきているということはあるのだが、木村技官による、現在も検疫体制が変わっていないというのは気になるところだ。ブレーキが効かないのだろうか。機内検疫をやめただけになっているのだろうか。

 今回は政治家のパフォーマンスがなぜ出てきたのかも気になる。厚労省があまりに巨大になりすぎ政治家である舛添大臣は対応できず、そのためにパフォーマンスしかできなくなったという見解がある。的を得ていると思う。

 そうならば今回の厚労省二分割も非常にだいじなことではなかったか。それが文部省の幼稚園行政を取り上げ、幼保一元化を厚労省を分割した国民生活省で少子化・児童局新設で行うことへの反対で厚労省分割が中止になったのは何ともお粗末ではないか。麻生総理は分割を命じてないと逃げるばかりでおよそ総理の役目を果たしていない。幼保一元化は棚上げにして橋本政権の中央省庁再編の一部失敗を認めて、厚生労働省の分割を行えばいいのだ。それが総理大臣の役目でリーダーシップだろう。

 毒性を強めた第2波の時はどうするか今から議論と検討を行うべきだと思う。こんな森兼研究官の言葉で終わっては困る。おそらく水際作戦は2波でも役立たない。蔓延が予想されるのだ。もはやかなり大流行することを前提にPCR遺伝子検査をしっかりとやれる体制を整え、国民ができることを宣伝する。重篤になった人の治療体制を整える。それしかないと思う。
 それには今起こっている事実を見つめることだ。

 実は木村盛世技官がホームページか、ブログに何か書かれるのを待っていたが、待ちくたびれたので参考になることを書かれたら後日報告したい。

 それともう一つ、木村盛世技官インタビュー記事

●ロハス・メディカル(2009年5月 1日 18:37)
新型インフルエンザ、水際封じ込めはナンセンス(BY「晴天とら日和」)

――『厚生労働省崩壊』(講談社)というショッキングな題名の本を、現役厚生官僚・医系技官の実名で出版されましたね。なぜですか。
厚生労働省が危機的な状況だからです。広く議論していただくために、自分の専門的立場から提言したかったのであって、暴露本を書いたつもりはありません。実名でないと意味がないし、辞めてから言っても意味がないと思いました。何が危機的かといえば、今回の新型インフルエンザへの対応ひとつとっても実にお粗末です。インフルエンザの疑いだけでギャンギャンやっているけど、もっと危険な感染症やバイオテロに襲われたらどうするのかという思いもありますし、『JAPAIN』と書かれてしまう位に日本の国際的な存在感が低下しているのに日本人があまり危機意識を持っていないようにも見えました。

 ――お粗末ですか。
厚生労働省が言っているのは、検疫による水際での封じ込め、ワクチン、タミフルの3点セットですよね。でも、こんなの新型インフルエンザに対してはナンセンスです。特に問題が大きいのは検疫です。症状だけでは、普通の風邪や既存のインフルエンザと見分けがつきませんし、10日間の潜伏期間もあります。それから、簡易キットによるスクリーニングが100%の精度であるはずありません。過去のインフルエンザの例を見ても、学校の閉鎖や空港の閉鎖なども成功した試しがないんです。日本に入っちゃうと思った方がいいし、入っちゃったら間違いなく広がります。幸いに今回のウイルスは弱毒性のようですから、やるべきことは既存のインフルエンザとそんなに変わらないですよ。

インフルエンザワクチンは効果がそもそも不明です。昔、日本で小さなスタディがあって、ワクチンを打った群と打たない群とを比較したら打った群の方が発症率は低かったというのですけれど、よくよく調べてみたら、そもそもワクチンを打たない群というのは、元々体調が悪かったとか体力がなかったとかで打てなかっただけだったんですね。要するにワクチンが有効という大きなエビデンスはありません。それよりは、感染される側の体力の方が大切です。

タミフルについては今回のウイルスに効くかどうか分かりませんし、既に日本は使いすぎて耐性を獲得したウイルスもある位なので、濫用せず本当に使う必要がある時に留めるべきでしょう。あまり頼りすぎない方がよい。

 ――なぜそんなものを前面に押し出しているんでしょう。
専門家がいないからでしょうね。WHOもフェーズ3から4に上げる時、封じ込めに努力せよなんて言ってません。それなのに封じ込めできると言っているのは、国民を欺く行為です。もし彼ら自身が本気で可能だと思っているのだとしたらあまりに宗教的だし、頭に何か新種のウイルス感染でも起こしているのでないかと心配になりますよ。

現実的な解釈はこうです。そもそも日本の病院は感染症に対応するようにできていません。今回の疑い患者が収容された横浜市民病院も360万都市なのに陰圧室が2床しかないですよね。アメリカの試算では、新型インフルエンザに対応する能力を病院に持たせようと思ったら1病院あたり1億円かかります。病院経営がどこでも悪化している中、それだけのお金が出てくるはずもありません。

それから、重症患者にあたるには、一般内科医や皮膚科医、精神科医などでは無理で、呼吸器科の医師、挿管できる救急医、感染制御の知識を持った医師が必要ですけど、ただでさえ医師不足なのに、どこにそれだけのドクターがいますか。ナースの人手も全然足りません。ハコもヒトもカネもない、どうやったら対応できるんだという議論をしないといけないはずなんですけれど、その議論を避けたいから100%水際で止めるんだと言っているんでないかと感じます。

もう一つは法律の問題もあります。海外から国内へ入ってくるものを止める検疫法は厚労省の直接管轄ですけれど、国内で発生してしまった後の感染症法は主体が地方自治体になります。厚労省は「やれ」とだけ言えばいい。今回の疑い患者の例に関しても、厚労省は横浜市からきちんと連絡が来ないという言い方をしてますでしょう。いちど入ってきてしまったら、後は厚労省が責任を負わないで済むんです。だから検疫、ワクチン、タミフルという効果のないものでごまかしているんではないでしょうか。

 ――そう言われると、なるほどと思いますね。
今回はたまたま弱毒性のインフルエンザだったからいいですけれど、この体制の不備を突かれてバイオテロなんかやられたら日本は崩壊しますよ。私はずっとこの問題を言い続けています。

今は、厚労省の結核感染症対策課も不眠不休で対応に追われて疲弊していると思います。ただ、そもそもが机上の空論。現在の日本は、天然痘のように封じ込めできる疾患と、インフルエンザのように封じ込めできない疾患の区別すらついていません。それで、お金かけても仕方ないところにお金かけてます。発見率の極めて低いサーモの機械は1台300万円しますし、これを見るための検疫官を他の省庁からも借りてまで増やす、そんな無駄なことに税金を使っています。

それよりは、医療センターや国立病院の空いている敷地にプレハブを建てて、JICAの感染症専門の医師たちに専門外来をさせればいいのでないかと提案を上げました。公務員と準公務員を活用すれば、大して金額はかかりません。そういうきちんとした専門外来を設けて、国民の不安を解消する方が大事だと思います。

 ――先ほど専門家がいないという話でしたが、医系技官は専門家ではないのですか。
医系技官の使命は、国民の健康と安全な医療を守ることであり、そのためにはプロフェッショナルである医師の能力が必要。だから本来は専門家であるはずです。ただし、今の医系技官は、臨床も何もできない専門能力のない医師がたまたまやっている。だから彼ら自身、自分たちの知識のなさをカバーするので精一杯。世界を見渡せば、専門能力を持って活躍している日本人は大勢います。そういうトレーニングを積んだ人間を登用するシステムに直して、総入れ替えした方がいいと思います。今は、単に天下りを守るだけの集団に成り下がっています。

 ――600人という医系技官の数が多すぎることはありませんか。
数より質ではありますけれど、しかし担う重責を考ると、能力のある人さえ確保できるのならもっと多くてもよいと思います。技官の役割は、現場と交流して、その意見をきちんと施策の企画立案に還元することです。霞が関にいたって現場のことは絶対に分からないし、施策の企画立案を法令官僚だけするのは不可能です。現場の意見をきちんと吸い上げるような仕組みと人が必要なんです。でも今はトップダウンで、現場では無理と思っているようなことが、本省が言っているからで全部押し通されてしまっています。

人材不足に関しては、アメリカやイギリスに留学している人も大勢いるのだから、いっそのこと向こうの大学を日本に誘致してしまえばいいと思っています。最初の教授は向こうの人になるんだろうけど、そのうち日本人も育って学術的な後れも取り戻せるし、留学費用にお金を使うぐらいならそっちの方がいいんじゃないですかね

 ――本を出して、何か本省から言ってきましたか?
本当にフランクに言ってくればいいんですが、何も正面切っては言ってきません。それをせずにイジメのようなことばかり。今回もアマゾンの書評に一般読者を装って悪口を書き込んでいる程度でしょう。彼らは一人ひとりは非常に臆病な羊。でも群れると狼になって意地悪をするんです。私は別に何も悪いことをしていないので、辞めろと言われる理由はないんだけれど、いつ辞めてもいい覚悟ではいますよ。一方で、もし責任ある仕事をしろと言われるならば、それも運命と思って懸命にやるつもりです。

 ――腹をくくっている分、上の人たちからすると一番始末に困りますね。
困るでしょうね。腹をくくってないと動いていかない、ビクビクしていたら動いていかないですよ。高校時代に五木寛之さんが学校に来て講演してくれて、「君たちは生きているだけでも困難な時代に直面している」と言っていました。今はさらに状況が悪くなっていて、私は娘たちが中学生だけれど、娘たちの時代に果たして日本があるんだろうかと思わざるを得ないんです。人生の中で日本を脱出するチャンスもあったし、日本に帰ってこない選択もあった。それでも私はやっぱり日本人だから日本に帰ってきた。だったら子供たちが安心して暮らせる日本をつくるのが私の務め、そう思っています。

 だから、ダメなものはダメと言い続けて、飛ばされ飛ばされ続けています

 ――同じような境遇の方は他にもいるのでしょうか。
1人だけ仲間を見つけましたけど、その人に話を聞いたら、他の人たちは辞めちゃったか、何も言わなくなっちゃったか、のようです。こんな姿を見ていると娘たちも何かを感じるんでしょう。「マミー負けるな」と言ってくれます。私も親の背中を見て育ちました。親がウソをついたり、ズルしたり、そういう姿も全部見ている。だからそういうことをしないで正々堂々としているというのも自分の役割かなと思っています。

 ――最後に一般の人たちに今回のインフルエンザに関して専門家の立場からアドバイスを。
厚労省の対策をけなしましたけれど、じゃあ国民は何もできないのかと言ったら、そんなことありません。他の気道感染性のウイルス感冒の予防と同様に、手洗い・うがいをしっかりやる。それからウイルスに負けない抵抗力を持つために、休養をちゃんと取ってバランスのよい食事をしてストレスを溜め込まないことが大事です。

マスクは、咳をしている人が他の人にうつさないためには意味があるけれど、感染を防ぐのに有効かは不明確です。あまり神経質になる必要はないでしょう。ただ日本では咳エチケットが定着していなくて、平気でゴホゴホやっている人もいるから、そういう人にマスクしてくださいというのは意味があるかもしれません。本来は国が責任もって咳エチケットを広めるべきと思います。

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【2009/05/29 22:25】 | 病気流行、パンデミック
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