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 5月13日付で、大日本印刷グループと講談社、小学館、集英社が、ブックオフの株式約30%を取得したと発表があった。出版3社と大日本印刷グループは、「二次流通も含めた出版業界全体の協力・共存関係を構築し、業界の持続的な成長を実現させていくため」とコメントしている。

 ブックオフは著作権者、出版社にとって天敵で出版不況の一つの要因だとも言われてきた。何しろブックオフは巨大で東証第一部上場企業で、中古書販売店「ブックオフ」を全国で約九百店も展開していて、売り上げは何と年間約四百八十億円。しかも本は新刊書店で売れた段階で著作権が消滅する。このため、中古書を売る「ブックオフ」は売り上げがすべて利益となり、著作権者には何ら見返りはなく「タダで商売している」と作家ら著作権者から強い不満の声が出ていた。

 そのため著作者団体は何回も申し入れを行い、2008年4月には著作権者に謝礼金を出す方針を決定した。数年先をめどに数億円の謝礼金を検討するそうだ。
 これにブックオフ側は「謝礼金を出すメリットは、出版・流通界で認知されること。著作権者に総スカンを食っている今の状態は、東証一部企業にふさわしくない。出版・流通界の正式メンバーに迎えられることで、ゆくゆくは新刊本を扱いたい」とこの時に関係者がコメントしたそうだ。

 出版3社はこれまで著作権者と共にブックオフと揉めてきたこともあり「著者・著作権者の創作的基盤を尊重し、関係各位の立場を配慮しつつ、より効果的かつ有機的な市場の構築を図っていきたい」としている。

 そうなると今回の株の取得も、出版社との資本提携によるブックオフの新刊本取り扱いにより巨大書店グループが誕生する可能性が高い。しかも、大日本印刷はすでに丸善やジュンク堂、主婦の友社などとも資本提携などしているので、これはまさに大日本印刷を中心とする出版業界の一大企業グループが誕生するということではないか。

 このように、印刷、出版、書店が資本提携し巨大グループを形成する。どうやらこれが出版不況にどう対応し乗り切るかという難問に対する、企業側からの回答なのではないか。後はここに書籍取次大手のトーハンや日本出版販売(日販)が参加するのでは。そうなれば勢揃いだ。
 心配は街の本屋さんは、ますます生き残りが難しくなるのではないか。

 それと、こういう出版業界の動きに、以前から不思議に思ってきたこと。
 顧客を増やそう、そのために教育界や政治と連携しようという動きが欠片もないことだ。実に変だ。著者を学校に講師派遣する事業も朝日新聞社だけがかなり前から自力でやってきたが応援や提携する動きもない。できれば教育予算で国の費用でやるべきことではないか。本を読まない人ばかりになれば国の力が衰えるのは間違いない。誰しもわかっていることではないか。

 長年の大人向けの読書普及の経験で、本を読まない大人に読んでもらうというのは不可能で、顧客を増やすには子供に本を読んでもらわないとダメだと既に結論は出ているのだ。子供のころ本を読むようになったその子は、大人になっても本を読み続けて読者と顧客になる。こういうことが分かっていて出版業界は何もしない。なんと広い視点が無く長期方針が立てられないところだろう。国が率先してやらないのなら働きかけをしたらいいのでは。そして世論を興すべきではないか。

 ぜひ巨大グループに業界全体の客を増やし売り上げをのばす方法を考えてもらいたいものだ。
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【2009/05/14 23:28】 | 奈良たかし・本の話
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