事業仕分けで、事実上停止されたスーパーコンピュータ開発問題が、かなり話題になっている。

 仙石由人行政刷新担当相が。仕分けでの論議は1時間だが、かなり時間をかけて事前調査して時間をかけて論議している、と述べた。

 しかし、短期成果主義が露骨ではないか。それから数億円で買えるなど産業を過小化するかなり勘違いがあると思う。それと基礎科学者の集まりである「計算基礎科学コンソーシアム」が下記声明を出したが、どうもわかりにくい。

 スーパーコンピュータでいちばん身近なのが気象予想なので例にとる。

 前回は数値予報の精緻化のため2006年3月1日に更新されている。

 これはCOSMETS気象資料総合処理システムといい、昭和63年(1988)に一新されたシステムで、全国・全世界の観測データを気象庁にオンラインで集め、それを総合・分析して予想天気図を作成するものだ。日立製のスーパーコンピュータ「SR11000モデルK1」を導入して、この本体は3億円程度。
 だが、システムのための周辺機器追加などで20億円以上かかるだろう。

 しかも、スパコンのソフトはカスタムなのだ。この本体の会社や周辺の専門の企業が開発して更新する。この精緻化のためのソフト改修は百億円以上かかっていると思う。一般の汎用ソフトと混同してしまうと間違いになる。

 結局、スパコンの開発放棄するならスパコン本体とそのソフトの産業全体の放棄につながり大きな損失になる。

 他に使用されているのは、分子動力学、天文学、金融工学のような大規模数値解析に基づくシミュレーションに利用される。
 そして日本産業全体への技術波及効果が大きい。開発放棄には反対する。

気象庁「スーパーコンピュータの更新及び数値予報等の改善について」

http://www.jma.go.jp/jma/press/
0602/23a/suchiyohokaizen.html


次世代スーパーコンピュータ開発に関する緊急声明
http://suchix.kek.jp/ccfuns/Appeal/appeal.pdf

次世代スーパーコンピュータ開発に関する緊急声明

平成21年11月13日に行われた行政刷新会議の事業仕分け作業において、国家基幹技術として理化学研究所を中心に開発が進んでいる次世代スーパーコンピュータプロジェクトが、「来年度の予算計上の見送りに限りなく近い縮減」と結論された。この結論が計画の凍結を意味するならば、熾烈な国際競争の中ですでに製造段階に入りつつあるプロジェクトにとって廃止に等しい大きな影響をもつ。科学技術政策は大局的・長期的ビジョンに基づいた国家政策として実施すべきものであり、次世代スーパーコンピュータについても、平成17年より総合科学技術会議等で民間有識者、科学者らの考えを取り入れて進められてきた。今回の事業仕分け作業における唐突な結論は、我が国の科学技術の進歩を著しく阻害し国益を大きく損なうものであり、不適切であると言わざるを得ない。我々、計算基礎科学コンソーシアムは、次世代スーパーコンピュータプロジェクトの遅延無き継続を強く求める。
スーパーコンピュータは現代の科学技術全体において主要な位置を占める。半導体技術は、通信・物流・医療など国民生活のあらゆる場面で役立っているのは周知のことだが、その基盤にあるのはスーパーコンピュータなどで用いられる最先端の技術であり、それは数年後には広く社会で応用される。また、バイオテクノロジーやナノデバイス開発など、やがて国民生活につながる最先端の技術開発では、スーパーコンピュータを使ったシミュレーションが、国際競争における主要な武器になっている。

基礎科学の研究においても、スーパーコンピュータの重要性はますます拡大しつつある。なかでも自然界に対する人類の知識を深める物理学においては、20世紀を通じて明らかになってきた素粒子の基本法則に基づいて、宇宙の誕生から物質の創生、そして銀河や星の形成にいたる宇宙の歴史全体をも理解することが可能になりつつある。 特に、実験や観測で調べることのできない領域を探索するための唯一の方法はスーパーコンピュータを使ったシミュレーションであり、国際的にもこのような認識のもとでスーパーコンピュータの整備強化が進められている。科学史上の主要な発見の多くは、最先端の技術を用いて達成されたものである一方、科学における発展は新たな技術の創出にもつながる。次世代スーパーコンピュータはその要の位置にあり、その開発を凍結することが、我が国が維持してきた科学と技術における国際競争力を失う大きなきっかけとなることが深く懸念される。
これまで理化学研究所が進めてきた次世代スーパーコンピュータ開発は、世界最高性能をもつ汎用スーパーコンピュータの実現を大きな目標の一つとしてきた。世界最高性能を目指すことは、新たな革新的技術を開拓する原動力であり、そこから幅広い科学と技術における世界をリードする成果が出てくることが期待される。さらに、この次世代スーパーコンピュータ施設は、関連する国内の大学・研究機関・企業等の相互交流や、将来を担う研究者や技術者の人材育成など、ソフト面の強化を通じて科学技術の進歩をさらに加速する拠点としての役割も期待されている。
科学技術立国を掲げる我が国の将来にとって、確固たるビジョンをもってスーパーコンピュータ開発を進めることは死活的重要性を持つ。基礎科学を含む様々な応用分野の研究体制を強化しつつ、次世代スーパーコンピュータ開発を迅速かつ着実に推進することが極めて重要であると考え、ここに強く訴えるものである。

平成21年11月18日

計算基礎科学コンソーシアム

代表 宇川彰(筑波大学・副学長)
幹事 青木慎也(筑波大学・教授)
石川正(高エネルギー加速器研究機構)
梅村雅之(筑波大学・教授)
延与佳子(京都大学・准教授)
大川正典 (広島大学・教授)
大塚孝治(東京大学・教授)
大野木哲也(大阪大学・教授)
梶野敏貴(国立天文台・准教授)
金児隆志(高エネルギー加速器研究機構・助教)
藏増嘉伸(筑波大学・准教授)
佐藤三久(筑波大学・計算科学センター長)
佐々木勝一(東京大学・助教)
柴田大(京都大学・教授)
鈴木英之(東京理科大学・教授)
中務孝(理化学研究所・准主任研究員)
橋本省二 (高エネルギー加速器研究機構・准教授)
初田哲男(東京大学・教授)
朴泰祐(筑波大学計算科学センター・教授)
保坂淳(大阪大学・准教授)
牧野淳一郎(国立天文台・教授)
松元亮治(千葉大学・教授)
松古栄夫(高エネルギー加速器研究機構・助教)
吉江友照(筑波大学・准教授)
3
* 計算基礎科学コンソーシアム:
計算機を使った基礎科学研究に関わる研究者からなるコミュニティ組織。
http://www.ccfuns.org/
* 連絡先:
東京大学大学院理学系研究科 物理学専攻 初田哲男
電子メール: hatsuda@phys.s.u-tokyo.ac.jp

高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所 理論センター 橋本省二
電子メール: shoji.hashimoto@kek.jp

筑波大学 副学長室 宇川彰
電子メール: ukawa.akira.gf@un.tsukuba.ac.jp


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【2009/11/24 16:58】 | 政治・経済
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